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ツァイスの魅力2 [カメラ]

 オーバーコッヘンでのカール ツァイスのエンジニアはみな肩書きが「博士」で、日本人の認識だと、なんか知の巨人が勢揃いしたような集団で、けっこうな威厳があり当然みなさん誇り高い。
 日本のわけのわからん三流カメラマンにとっては、なにか異なる世界に生きる高貴な人々という感じがした。
 でもこちらも浅学非才ゆえに逆に怖いもの知らずであるから、いろいろとづけづけ訊いてみる。「良いレンズの解釈とはなにか」と質問するとツァイス側はMTF評価を絶対視しているところがあるから、数値的にいちばんよいものが良いレンズである。という当たり前のツマラナイ回答がかえってくるわけで、このあたりの解釈に関しては面白いわけもなく。
 でも以前の製品よりも大口径レンズのボケ味に関してはそれなりに考慮されている設計のようである。テスト写真も見せられたり、「Bokeh」の概念も聞いた。ま、写真は日本のカメラ雑誌の作例と同じようなもんだったので解析のための写真という感じだったけど(笑)。でも、写りから設計にフィードバックもかけているという話もしていたけど、これは当然であろう。
 前回でも書いたけど、マウントが異なるタイプのものを用意する汎用性のある交換レンズをAF化しないのは、AFのモーター駆動のためにレンズを設計したくないということもあるらしい。
 内部のレンズをモーターで動かすにはそのための光学設計とか軽量化のための硝材を考えねばならないからというのがその理由という。そんな頑なこと言わなくてもいいじゃないとか思うのだけど、でもAF駆動方式だって、レンズ内モーターやらボディ内モーターの方式があるから、ひとつの光学設計で両方ともうまいこと収めるというわけにもいかないのでしょうな。でもソニーとかひとつのシステムのためにレンズ設計するとなると、専用設計としてAFも含め自在に展開できるのだろう。
 いまのZF2とZEレンズは、小型軽量化も考えていない。これもまた数値性能の低下を危惧するかららしい。AFレンズのみしか使用経験のない人なら、フォーカスリングのトルクの重さにも驚く人が多いだろうし、回転角にしてもちょい大きめに思える。ニッコールのMFレンズはフォーカスリングの回転角を小さめにしてあるものが多いが、これはピント合わせを迅速にするという理由だろう。
 しかし、本気でフォーカスを追い込むには、速写性を犠牲にしてもフォーカスリングの回転角は大きいほうが理論的に合焦の歩留まりは上がるはず。いまのデジタルAF一眼レフカメラのピントのヤマのつかみづらい冗談みたいなスクリーンだと、ますます速写性は落ちてしまいそうであるが、これも鍛錬して、撮影者側が慣れてゆくしかなさそうだ。
 それでもうまいこと自分の理想とする位置にフォーカシングできた画像をみるとけっこう感激するものがある。つまり、ツァイスは撮る側にとってもある程度の努力を強いるのである。これをナマイキと思う人、効率を重視する人には向いていないレンズということになる。
 では苦労して撮影して写真に“ツァイスならでは”の描写があるのか、と問われると、これがまた答えづらい。でも、プラナーT*50ミリF1.4とか、プラナーT*85ミリF1.4などは、京セラ時代のコンタックス用交換レンズとほぼ基本設計は同じようでいて、開放時の描写は明らかに向上していることは確認している。開放時のフレアの量は明らかにいまのレンズのほうが少ないと思うし、開放時から高いコントラストが維持されている。
 解像力は国産レンズでコントラストはツァイスレンズだ、という話をしていた写真家もいたけどこれが事実かどうかは別として、出来上がった写真の見えという意味ではツァイスレンズは個性ある描写をするものが多いし、評価も高いわけだ。
 いまのツァイスレンズラインアップには旧レンズをベースにした改良型とまったくの新設計レンズとなっているものがあるが、新設計のレンズで私がけっこうガツンときたのはマクロプラナーT*50ミリF2マクロプラナーT*100ミリF2の2本のマクロレンズ。
 マクロレンズを大口径化するのはリスクを伴い、マクロキラーとかズイコーとか以外にあまり例がない。最大撮影倍率が1/2倍としたのも、性能面での維持のためか、あるいは大きさを抑えたためだろうか。もちろん接写リングとか、クローズアップレンズつけても性能低下は問題はない描写だった。合焦点の線の細さなんぞまさにマクロで、大きなボケ味とうまく同居した感じ。
 それに最近ではディスタゴンT*35ミリF1.4ディスタゴンT*15ミリF2.8の描写に驚いた。
 前者は、あのクセのある京セラ時代のディスタゴンT*35ミリF1.4が好きな人には合わないかも。以前のダメなところをすべて解決したような優秀なレンズで、以前のあのワイルドなクセのボケ味は絶対に得ることはできませんね。
 また京セラ時代のディスタゴンT*15ミリF2.8は天文学的価格でうわーと思ったし、写りにしても、なにか濁りのあるような独自の雰囲気は確かに面白くもあったけど、価格と描写特性が比例していないというか周辺画像とかみると、こんなもんなの「味」という言い訳でごまかしてない?みたいな感じだった。異論はあるでしょうけど。
 いまのレンズは逆に味気がないほど光を通しすぎてクリアで秀逸な描写をする。そのかわり、ちょっとびっくりするくらい大きい。この作例を挙げておこう。
 
zeissze1502.jpg
ディスタゴンT*15ミリF2.8ZEの作例1。EOS5D MarkIII 絞りf5.6 再近接域でもしっかりした像だし、ヌケが恐ろしくよい。ボケ味を語るレンズじゃないけど自然な雰囲気。
_DSC5667.jpg
ディスタゴンT*15ミリF2.8ZF2の作例。 ニコンD800 絞りf8 歪曲収差の補正が行き届いていることもあり遠近感の誇張が抑えられる。周辺画質も良好。
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コメント 4

hironeko

ツァイスは質実剛健というか、一貫したポリシーを感じます。
私の場合、「博士」はおそか、文系出身の現場上がりの技術屋ですが、
ツァイスの徹底ぶりには見習うべきものがあります。
総じて日本のメーカーは「付加価値」を重視しますが、
ユーザーは本当に「付加価値」を求めているのでしょうか?
中国語に「华而不实」という言葉がありますが、
日本の工業製品は見かけの華やかさ(便利さ)ではなく、
基本=実用の部分をもっと重視するべきなんじゃないかな
と思う今日この頃です。
by hironeko (2013-01-09 22:02) 

Koichi Akagi

ははあ。そのとおりかもしれないですね。意思の強さは見習うべきものがあります。コストと効率を考えているといろいろなものが犠牲になるように思います。
by Koichi Akagi (2013-01-13 23:34) 

Masato Murata

「ライカ味、と巷間いわれるが、ありゃあ性能が悪いレンズだからだ、とZeissがいった」、という名言は赤城先生でしたっけ、あるいは竹田正一郎先生か?いずれにせよライカ・レンズなぞ大光学メーカーZeissにとっては眼目にないということですか?しかもNikonやCanonの(D)SLR向けの高性能レンズを相対的にリーズナブルな価格でOEM製造にしろ販売してくれるZeissには好感をもちます。

しかしカメラ製造となるとこりゃあ中小メーカーLeica(いまやAGですが)にかなわないことは自認している様で、IKONはMマウントでしたが、しかし厭味な廉価で超高性能レンズを売るというライカイジメで仇をとってます。残念ながらそのIKONも製造中止になりました。『銀塩カメラ至上主義!』の中にある、「軽やかで繊細なオトナのカメラという印象」という記述に騙されて、もとい、励まされて買って使っててよかった、このことであります♪ありがとうございました。
by Masato Murata (2013-01-22 01:54) 

Koichi Akagi

ツァイス イコンが登場した時期にオーバーコッヘンとイエナに取材しましたけど、ライカのことは意識していたと思います。興味深かったのは生産効率が悪い設計でも性能が良ければで押し通すとか、量産のことを考えない頑なさもあり、これもツァイスの一面だと感じました。ツァイス イコンに関しては製造中止は残念ですが、ライカに比べて質感云々というより、ファインダーの性能にもっと着目する人がいても良かったのではないかと思います。
by Koichi Akagi (2013-01-22 02:54) 

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